悦に入りほくそ笑む

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     近時稀に見る、あくまでも私にとってのほくそ笑み悦に入る二題。

     

     ふと思い立ったAURATONEのスピーカー。昔、持ってたけど、きっと誰かに

    あげたんだろ。コーン紙が一部破れて和紙で補修したもんだからイイんだけどね。

    オーディオの師が「コードの止め金具がマイナスネジのほうがいい音がする」を

    妙に覚えてて、なんとなくオークションを覗いてみたら、あったんだソレが。

    お金はないけどさ、ま一万円以内ならいいかな、なんてポチリしたらギリギリで

    入手できたのよ。

     右のエレキットに添わせようという魂胆だ。口径12センチだから低音は無理、

    聴きどころは中高音。なかなかいいぞ、チョッピリほくそ笑む。

     ついでにと地下から通称樽アンプもお引っ越し。ぐっと低音は出るぞ。

    この2セットは上下同じ場所にあるから聴き比べ可、それぞれの良さが確認

    出来て、いささかな満足感に一人悦に入る。

     樽アンプが引っ越されて空室となり、棚から引っ張り出されたのが稀代の

    名器の誉れも高きヤマハ  CA-2000だ。ここんとこしばらく休眠状態だった

    けど、風が吹けば桶屋が儲かるの例えで久しぶりに聴いてみた。どうでい、

    いいじゃないか! こんなに良かったっけ!

     それもそのはず中身は真空管なんだわさ。mazdaluce3000氏が作り給うた

    ものをオークションで入手してから幾年月。なんていい音なんだ。樽アンプも

    良かったしエレキットもなかなかのもんだったけど、断然コレがいい。経験を

    積んでわかることもある。ってことで機嫌直してイイ声聴かせて頂戴ナ。

    ごめんね、もう二度と冷たくしないからさ。って、こんなこと言ったって

    誰にもわかっちゃもらえないんだろうな。いいんです、私だけがわかって

    堪能できれば。これが今回の、悦に入りほくそ笑む打ち止めだ。

     

     で、もう一題。

     一人用ソファの設計試作に励んでいることは以前書いた通り。布を作って

    くれる矢口さんが5月に伊勢丹で展示会、そのときに置きたいのと望まれて、

    製作担当のT本さんに問い合わせ、実は4月に中国に行かねばならなくなり、

    間に合うかどうか些かな不安。う〜む、無理強いはしたくない、ならばと小生

    若かりし頃に試作した椅子を引っ張り出してきた。所謂ダイニングチェア、

    構造も簡単だし、これなら出来るだろ、矢口宅とT本工房を数度巡ってようやく

    完成形が見えて来た。

     最大の難関は背もたれ。まずはゆるいカーブ。どうにもウマくないのダ。

     急遽、曲がりを強くした。背もたれ心地は良かれども、両端がウマくない。

    なんで両側目一杯まで背もたれがないの? と矢口嬢夫妻の厳しいご叱責。

    そうだよな、中途半端に短い根拠はな〜んもないもんな。あなた方は正しい。

     ってことで、両側まで広げてみた。いいんじゃないか、いいぞに至ったワケ。

    雰囲気を確認したいから布張ってみた。手前は高く奥は低い2タイプで比較、

    その後最終形を決めようということだ。

     

     この椅子、結婚前だから24才ころに、インテリアセンタースクールの夜間

    家具専攻で半年間学んだときの課題で作った代物。以来45年を経て決着を

    みたことはなかなかの感慨も湧くってもんだ。先生方の評価もさほどのことも

    なく、私一人が悪かぁないだろと思い続けてきたんだもんなぁ。そのうちと

    思いつつ45年も経っちまった。いくらなんでも遅過ぎるだろ。

     

     でも、こうして出来上がった姿を見て、アタイうれしいざんす。苦節という

    言葉使ったって誰も文句は言わんだろ。たとえ、その間なんにもしなかったに

    せよ。これは私にとって嬉しいことなのか? と考えてもみる。喜びなんだろう

    か? とも。いやね、ローレンツの本で文明化された人間は、快楽ばかりで

    喜びのココロは持てなくなると書いてあって、その通りだなと思ってたからさ。

    どうしても喜びに対しては懐疑的になっちゃうんだわさ。

     

    これは、きっと喜びなんだろうネ・・・・・・・な、店主でした。

     


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