トマソンの宝島

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     相変わらず台北、第三弾だ。

     

     およそ20数年前、名古屋市美術館で開催された「赤瀬川原平の冒険 脳内

    リゾート開発大作戦 」を見に行ったことがある。もともと彼の前衛芸術が

    大好きだったんでね。美術館入ってすぐ、芥川賞記念品が鎮座する左側に

    小学校の机の天板があってビックリ仰天。彼が使ったもので、物持ちの

    良さに驚いたんだ。

     私自身が使って今も持っている一番古いものはなんだろうって考えて

    しまったじゃないか。そうだなぁ、ま、あえていうならレコードかな。

    小5か6か、プラターズのゴールデンベスト盤みたいな。でもそれは

    あとで買ったもんだから、威張れるもんじゃないけどね。トホホですわ。

     

     赤瀬川氏の芸術の中に「トマソン」がある。

     赤瀬川原平らの発見による芸術上の概念。不動産に付属し、まるで

    展示するかのように美しく保存されている無用の長物。存在がまるで

    芸術のようでありながら、その役にたたなさ・非実用において芸術

    よりももっと芸術らしい物を「超芸術」と呼び、その中でも不動産に

    属するものをトマソンと呼ぶ。

     ウィキで調べた。このようなものだ。

     

     で、台北では、だ。

     螺旋階段だけが残された柱ほど目立ちはしないけど、屋上に設置された

    突き出し部。歩道から吊り上げるためにもの、もちろん後から建てられた

    もんだ。きっと建物内には工場があるんだろう。今も工場が稼働しているか

    どうかわからないけど。建物も十分古い、屋上の設備も適度の古色なので

    周囲に溶け込んでいる。

     けっこう感動するけど、いたるところにあるから驚きは急速に慣れに

    変化してしまう。NYに行った時、初めてのアール・デコ建物に感動した

    時とおんなじだ。

     

     十分、表通りの裏側からビルを見る。4棟か? 

     建物や窓の形、色ぜんぶ違う。共通しているのは屋上に設置した屋根。

    むろん後で建てたもんだろ。注目すべきは左から二番目の黄色いドア

     木製ドアに換気扇、さらに四角い穴、そして鉄扉(多分)を繋いで

    いる金具。どう考えたって室内から鉄扉を閉める装置だ。鉄扉に換気扇

    を取り付けられなかったか、雨を防ぐために内ドアを付けたものか?

    こうして鉄扉が開いているということは今も使っているんだろうか?

    ビルの裏側だからいいと言えないこともないけど、十分に向かう唯一の

    道路から丸見えだからな、街の顔とでも言える正面部分だもんな。

    日本だったら間違いなくキレイにするとこだけど、アッチは違う

     

     ホテルから歩いて数分にあったビル。鉄柱の上と下。トランスらしきもの

    の工事用の穴と下は配管から伸びる配線がむき出しだ。大通りに面したビル

    の柱でも、一向に気にしない、「それがどうした?」と逆に突っ込まれる

    だろう。ここが格別特別ではない、あたりにはどこでも見られる風景だから。

     

     

     九分ではこんなとこもあった。ポッカリと開いた穴みたいな。両隣は

    家がある。けど、ここだけこうなってる。雑草が芸術作品に見える。

    まるでワザとそうしてるような・・・・・・・

     

     同じく九分の裏通り。線に沿ってつつましく盛大な植物群にうっとり。

    通りすがりの人々に、見せるために整えるなんてこたァしませんぜ。

    置いたのは人間だけど、あくまでも植物自身に任せる気配に満ち満ち

    ている。スイスなんかじゃテラスを飾る植木鉢なんかがあるそうだけど

    こちとらアジアじゃそんなダサいことはしないって! そう見える。

     

     新しもの好きな日本、だからこその経済発展に異を唱えることはない。

    現に、我が家のトイレはウォシュレット、快適性に浸り切ってる私だ。

    でもさ、それが全国津々浦々行き渡り平均化されたんじゃ面白くない

    じゃないっすか。健康しかり衛生しかり安全しかり。そのうちセックスも

    しなくなるに決まってる。子供を作る気もないのに、汗かいてヌチャヌチャ

    した、健康とは無縁ともいえる作業なんて必要ないじゃんな日がやがて

    来るだろう。アタイはすでにカンケーないからどうでもいいけど。

     

     初めて訪れた台北で進歩することを考えた。果たして進歩は善なるもん

    なのか? あるいは清潔とか整理とかいわゆる美化は善なるもんなのか?

    それはあなたがいろんなことを享受している身だから言えること、と

    言われるかもしれないけど、そうじゃないって気もあるわけで・・・・

     

    よくわかんないけど忸怩な気持ち・・・・・・な、店主でした。

     


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