ドアの着地点

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     いささかの物語を経てドアが完成したことはすでに書いた。時期外れの

    降りしきる雪を店の窓から見て、炭火を整えて、コーヒーで一服。

     我が町下丸子駅の真ん前の不動産屋さん、店先に置くベンチ作りも塗装が

    乾くまでやることなし。この年齢になってストリートファニチャーを手がける

    なんて思いもしなかったわい。いずれブログで紹介することもあるかもね。

     

     で、一服しつつ、トイレのドアが気になった。

     素のドアだ。

     以前のドアをちょん切って、も一度塗装して、畏友T野井様の尽力で

    取り付け完了。このままでもなんの問題もないけど、ちょっと寂しく

    ないか?  中央にTOILETやら何かしらのイラストでワンポイントが

    よくある手だけど、それじゃ当たり前すぎる。シンプルなモダンデザイン

    はアジアの混沌好きなワタシは我慢できないんだわさ。

     

     ってことでこうなったのは以前書いた。

     こうするためには、

     鉄のワッシャーを真ちゅうのマイナスネジで留めなくてはならない。

    別に真ちゅうネジをじゃなくて鉄ネジでもいいんだけどさ。懇意の

    ネジの永井さんが特別に作ってるマイナスネジを使わないと気が済まない。

    というのも真ちゅうのマイナスネジはすでに生産されてなく、たまたま

    自作の家具に使いたくって問い合わせたことがあったのよ。

     ないとなると欲しくなるのが人情、作って欲しいみたいなことを言った

    覚えがあったもんでね。礼を失しちゃイカンだろう、せめてココで使おう

    となったんだ。とはいえネジの永井さんが特注したもんだから安くはない。

    ネジだけで4千円もしてしまった。

     こんなちっぽけな思い入れ、誰も気がつかないだろうな。

     

     この鉄のワッシャーにマグネットで写真を張り付けようってことだ。

    真ちゅうには磁石効き目ないからね。上記の通り四角い写真をとりあえず

    張ったけど、傾きが気になるし、時間が経てば角が垂れ下がってくるに

    決まってる。ならばと、

     丸く切り抜いたときたもんだ。これなら多少傾いたって気にならない。

    持ってたサークルカッターで切り抜くのに多少手間取ったけど・・・・。

    ま、これがこのドアのとりあえずの着地点だろう。

     

     この写真たちはずーっと前に買ってあった映画の写真集なんだ。観た

    映画未見の映画さまざまだけど、その中の一枚のコレがさっぱりでね。

    なんだコレ? と、長い間謎の映画だったんだわさ。

     

     未見の映画でもおおよそ見当がつくとか写真だけで知ってるとかある

    じゃない。でもコレは今までの映画歴の中でどこにも引っかからない

    っていうか、皆目見当もつかないの一枚だったワケ。

     

     今年になって、愛用してる図書館に行ったら新着DVDがあったのよ。

    ショア(Shoah)という映画。4枚組、なんだこりゃ? で、観た。

    ホロコーストの証言集、全編インタビュー。まったく淡々と進んでゆく

    んだけど、なんだかついつい引き込まれて、数日で観終わってしまった。

     で、その中の1シーンがコレでね。標識にTREBLINKAとあるけど、

    強制収容所の一つで、写っているのは機関車の運転手だったことが

    わかったんだ。

     

     毎日、蒸気機関車でせっせと送り込まれるユダヤ人たち、話すことは

    一切まかりならぬの状況下、なんでここに連れてこられたかがまったく

    わからないユダヤ人たちに、すぐに殺されることを伝えてあげようと、

    線路脇の住人やこの運転手は、手のひらで首を切る合図を送る。

     その意味がわかるかわからないか定かではないけど、合図を送らない

    ではいられない人の心が胸を打つ。

     

     いろんな映像で、貨車に積まれているのは着の身着のままの人々

    ばかりだと思い込んでいたけど、中には裕福なユダヤ人もいたことを

    知る。それらの人々は、豪勢な服を着て、貨車ではなく客車に乗って、

    やってくるけど、降りたとたん身ぐるみ剥がされて真っ裸、ガス室に

    直行、貧乏人も金持ちも平等だ。

     

     それ以外にも、ドイツの国鉄には正規の団体運賃が支払われてた

    とか、護送列車のダイヤは他の通常の列車運行と同じに組み込まれて

    いたとか、ホロコーストの証拠になるようなものは一切残っていない。

    ユダヤ人以外の人々の生活は普段通りでなんの変わりもない。そんな

    中、ユダヤ人だけのホロコーストが粛々と進行していることが怖い。

     

    改めて人間ってのはこういうもんか・・・・・な、店主でした。

     


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