お直しOK?

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     毎月、依頼される脚、今月は64個、納めて一服のアタイだ。元々同じものを

    作るの苦手だったんだけど、ますます拍車がかかり、64個でも気持ちを保つのが

    ムツカシイ。やる気のなさの減少が目に見えてワカル。困るのことよ。

     

     作ってる最中に作業服のボタンがとれてね。いずれ付ければいいや、なんて

    思ってはいけません、とれたボタンがどっかにいってしまい、結局ボタンなしの

    袖にイライラしながら、ってなことになること必定。裁縫箱引っ張り出してボタン

    付け終わり、あっ、ついでにズボンの補修もやっちゃうべ。

     たしか去年だったかな? 買ったのは。

     ニットです。裾はこのように編み方が違うんだ。折り目のギザギザに目が

    釘付け、ほぼ即決。イッセイミヤケのA-POC、どこで切ってもほつれることは

    ない。ってこともあってか、裾に切る目安の線を入れたんだろ、とアタイは

    考えてるんだけど、違うか?

     確か、来客に見せびらそうとテーブルの上に何の気なしに置いて、気が

    ついたら傍にタバコの吸い殻。あいや〜焦げてるやないか。穴があいてる。

    ま、ボタンで隠せばいいだろとそのまま放置して数ヶ月、やるなら今だと。

     ユザワヤに行ってボタンと糸を買う。青いズボンだから貝ボタンに決まってる。

    青=海=貝ということで。どうせならと角形、なんとなく6個。

     ハイ! この通り。少し引きつってるけど素人だから上々の出来と自画自賛。

    やっぱいいですな、ボタンは。一応、取り付いたものの心配は糸が抜けて

    こないか?ってことだ。針に通して最後を指先でクルくるっと丸めてポッチ

    にするんだけど、ニットだから強く引っ張ると編み目をスルリと抜けること

    数度。ならばとポッチをデカくしても抜ける気配濃厚でね。恐いんだ、これが。

    今はいいけどさ、洗濯したらぜ〜んぶ取れてやがんのはイヤでっせ。

     で、こんな感じだなもし。6個じゃ少なかったかなァ。でもなぁ、あまり

    多くてもなぁ。ま、着てみてから考えればいいだべさ。

     

    ってなこと言いつつ、さてと仕事仕事・・・・・・・な、店主でした。

     


    シアトリカル

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       週一回、3時間だけ講師をしている専門学校の卒業謝恩パーティのお誘いが

      来たのよ。ずいぶん前から、よほどのことがなけりゃ参加しないのココロな

      アタイ、今回は参加させていただきまするの返事を送る。参加しない理由は

      シンプルだ。つまんないないからに尽きる。

       

       先生!ぜひ来てね!! なんて甘い言葉に釣られて参加したものの、会場に

      行ってもなんのこともなく、誰も相手にしてくれない放っぽりぱなし。学生

      同士の会話で盛り上がり、先生同士は世間話でお茶を濁す、居心地悪いこと

      この上もナシ。なんだい、あの誘いは。単なる呼び込みだったのかい。そう

      思いたくもなるってもんだろ。んでもって一緒に写真撮って下さい!かい。

      その写真が送られてきたことないもんな。撮りっぱなし、添え物ってこと

      だもんな。

       

       そんなアタイが、何故に参加することになったのか。

       

       なんかかなり大上段だな。それほどのもんじゃない。卒制審査が終わって

      用事があって学校に行ったら一人の学生に声掛けられた。顔は知ってるけど

      名前はとうの昔に忘れてる。立ち話しの中「わたしアングラ好きなんです」

      と言うじゃんか。そういえば以前もそんなこと言われたような気がする。

      すっかり忘れとるんだ。それはそれとして、今どきアングラかいな気持ち

      のアタイ。昔はゴロゴロいたけど、今じゃアングラって呼び方さえも耳に

      することなくなったもんなぁ。

       

       そんな最近、アングラを知ってる人は少ないし、話をするチャンスも

      なかったんじゃないの?  きっと二年間鬱々とした日々を送っていたんじゃ

      ないかしら。二十歳ぐらいじゃ往時のこともわからないだろうし、さりとて

      教えを乞う話し相手になる御仁も探しようもない。ならばしばしアタイが

      話し相手になってあげようじゃないか。そう思ったワケ。今から、遡ること

      40年以上、20代前半の先生4人がなんとはなしに劇団作ってみようと、

      団員募集のポスター作ったら40〜50人ほどの学生が集まり、年一回の

      公演を数年続けたアタイなら、その資格はあるだろう。

       

       年一回とはいえ公演するのはけっこう大変でね。授業なんかそっちのけ

      って感じで、もちろん学校の仕事もしないことが続いて、他の先生から文句

      が出ることも再々って有様。なんたって専門学校の本分から外れてるもんな。

      知識や技術を真面目に教えなくてはならない、就職用のポートフォリオも

      作らなければならない、という今では考えられない狂いようだ。

       

       でね、謝恩会でゲームをやりたい、ついては先生方の子供んときの写真が

      欲しいってリクエストがあって、アタイはコレを送ったわけさ。

       フツ〜の写真じゃツマラナイもんなってことで、公演後の記念写真だ。

      こりゃどう見たってアングラだろう。会場は木工工房だ。机を片付けて

      舞台作ったもんだ。ウブな学生つかまえて「もちっと肌見せてもらえない

      もんだろうか」と演技をつけたのも懐かしい。

       

       で、謝恩会だ。件のアングラ好きの学生と話をすることが唯一最大の

      目的ではあるけど、それだけじゃなんかね、物足りないでしょ。そこで

      思い出したのが「シアトリカル」。アングラ劇団の雄、唐十郎率いる

      唐組のドキュメント風のDVD。これをプレゼントしたろやないかと。

       んでもって裏

       当時は状況劇場、唐組となって久しい。唐さんも病に倒れ舞台に立てなく

      なってしまった。私たちの素人劇団「ビクニ(比丘尼)」という名称は、

      新宿ゴールデン街にあったバーの名前をそのまま、演劇の内容も状況劇場

      そのままという借り物だらけな代物だったけど、きわめて面白い数年間

      ではありました。この経験は、間違いなく今のアタイの血肉になっている

      ことも疑う余地はない。

       

       プレゼントするにゃ、も一回観なくちゃならんだろ。と、再観したの。

      あ〜面白い、なんて面白いんだ。当時の面白さがまざまざと浮かび上がる。

      おぼこいアタイ、最初に観たとき、最後のシーンで舞台後ろのテントが

      グゥ〜っと開いて現実の風景が見えたことに仰天したし、上野不忍池の

      野外舞台にも行ったし、花園神社でのテント公演にも何回行ったか。

      麿赤児と大久保鷹の掛け合いに抱腹絶倒したし、満水の水槽に潜って

      いきなり登場した唐十郎にあっけにとられたことも。

       

       今の講師仲間がマジメに仕事してたときにアタイはこんな演劇にぞっこん

      だったワケだ。そんなアタイが、そういう講師と伍してあれこれ言う、

      それも的外れではない発言らしいことを感じる、そのことがとても不思議

      でね。数年間の演劇狂い、もっと長きにわたる音楽狂い、そして映画も。

      そんな好奇心の赴くままに生きて来たアタイが学生にアドバイスし、審査

      のときに発言し、椅子をデザインしている。デザインという専門分野に

      精を出すわけでもなく、なのにこうしている。そのことが「どうして

      そうなるの? そうなったの?」と来し方に耽ったりしてるとこなのダ。

       

      結局、そうしか出来なかったってことか?・・・・・な、店主でした。

       


      悦に入りほくそ笑む

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         近時稀に見る、あくまでも私にとってのほくそ笑み悦に入る二題。

         

         ふと思い立ったAURATONEのスピーカー。昔、持ってたけど、きっと誰かに

        あげたんだろ。コーン紙が一部破れて和紙で補修したもんだからイイんだけどね。

        オーディオの師が「コードの止め金具がマイナスネジのほうがいい音がする」を

        妙に覚えてて、なんとなくオークションを覗いてみたら、あったんだソレが。

        お金はないけどさ、ま一万円以内ならいいかな、なんてポチリしたらギリギリで

        入手できたのよ。

         右のエレキットに添わせようという魂胆だ。口径12センチだから低音は無理、

        聴きどころは中高音。なかなかいいぞ、チョッピリほくそ笑む。

         ついでにと地下から通称樽アンプもお引っ越し。ぐっと低音は出るぞ。

        この2セットは上下同じ場所にあるから聴き比べ可、それぞれの良さが確認

        出来て、いささかな満足感に一人悦に入る。

         樽アンプが引っ越されて空室となり、棚から引っ張り出されたのが稀代の

        名器の誉れも高きヤマハ  CA-2000だ。ここんとこしばらく休眠状態だった

        けど、風が吹けば桶屋が儲かるの例えで久しぶりに聴いてみた。どうでい、

        いいじゃないか! こんなに良かったっけ!

         それもそのはず中身は真空管なんだわさ。mazdaluce3000氏が作り給うた

        ものをオークションで入手してから幾年月。なんていい音なんだ。樽アンプも

        良かったしエレキットもなかなかのもんだったけど、断然コレがいい。経験を

        積んでわかることもある。ってことで機嫌直してイイ声聴かせて頂戴ナ。

        ごめんね、もう二度と冷たくしないからさ。って、こんなこと言ったって

        誰にもわかっちゃもらえないんだろうな。いいんです、私だけがわかって

        堪能できれば。これが今回の、悦に入りほくそ笑む打ち止めだ。

         

         で、もう一題。

         一人用ソファの設計試作に励んでいることは以前書いた通り。布を作って

        くれる矢口さんが5月に伊勢丹で展示会、そのときに置きたいのと望まれて、

        製作担当のT本さんに問い合わせ、実は4月に中国に行かねばならなくなり、

        間に合うかどうか些かな不安。う〜む、無理強いはしたくない、ならばと小生

        若かりし頃に試作した椅子を引っ張り出してきた。所謂ダイニングチェア、

        構造も簡単だし、これなら出来るだろ、矢口宅とT本工房を数度巡ってようやく

        完成形が見えて来た。

         最大の難関は背もたれ。まずはゆるいカーブ。どうにもウマくないのダ。

         急遽、曲がりを強くした。背もたれ心地は良かれども、両端がウマくない。

        なんで両側目一杯まで背もたれがないの? と矢口嬢夫妻の厳しいご叱責。

        そうだよな、中途半端に短い根拠はな〜んもないもんな。あなた方は正しい。

         ってことで、両側まで広げてみた。いいんじゃないか、いいぞに至ったワケ。

        雰囲気を確認したいから布張ってみた。手前は高く奥は低い2タイプで比較、

        その後最終形を決めようということだ。

         

         この椅子、結婚前だから24才ころに、インテリアセンタースクールの夜間

        家具専攻で半年間学んだときの課題で作った代物。以来45年を経て決着を

        みたことはなかなかの感慨も湧くってもんだ。先生方の評価もさほどのことも

        なく、私一人が悪かぁないだろと思い続けてきたんだもんなぁ。そのうちと

        思いつつ45年も経っちまった。いくらなんでも遅過ぎるだろ。

         

         でも、こうして出来上がった姿を見て、アタイうれしいざんす。苦節という

        言葉使ったって誰も文句は言わんだろ。たとえ、その間なんにもしなかったに

        せよ。これは私にとって嬉しいことなのか? と考えてもみる。喜びなんだろう

        か? とも。いやね、ローレンツの本で文明化された人間は、快楽ばかりで

        喜びのココロは持てなくなると書いてあって、その通りだなと思ってたからさ。

        どうしても喜びに対しては懐疑的になっちゃうんだわさ。

         

        これは、きっと喜びなんだろうネ・・・・・・・な、店主でした。

         


        九分板

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           一人用ソファを設計していることは既報通り。三作目の試作が完成間近となり、

          本番用の材料を取りにゆく。こういう時はフィットに限る。なんたって荷室広い

          からね。材木は懇意にしている井口材木店。目黒にある家具材専門店だ。

           

           パッチワークのようにいろんな樹種を組み合わせて作りたい、在庫の木材を

          できればぜ〜んぶ欲しいココロなのだ、と伝えておいてある。講師をしている

          学校を通じてのつきあいは、何年になるだろ? 20年近くになるだろうか。

          そんときにゃ親父さんも居たっけ。でも、長いつきあいとはいえそうそう頻繁に

          購入するわけじゃない。月に2万円程度だ。

           

           いくら客とはいえ、全部の在庫品を調べてほしいなんてことは言えません。

          目黒にあるから材木置き場は広大じゃないけど、それでもけっこうな奥行きが

          あり、二階建てだからさ。探すったって一苦労なことはわかる。で、いよいよ

          発注する段になって「とりあえず15枚」欲しいんだけど、と☎し、揃ったと

          連絡を受けて参じたワケ。

           13樹種16枚の板が勢揃いの図。最長は3m、短いのは1m程度。う〜む、

          なかなか壮観だな。渡された納品書を見れば、多種材、2000×120×27ミリ

          15丁、180,000㎥とある。長いの短いの厚みもマチマチで耳付きもある。

           耳付きってのはコレ。板の端っこが樹皮で、真っすぐではないヤツ。

          これらをいちいちサイズを測ってらんない。割れてるのもあるしぶっとい

          節もあるからさ。そんなこんなを勘案しての上記15丁ってことなんだろ。

          充分な信頼関係があるから安心だ。

           分かりにくいけど、真ん中にある白っぽい木(イエローパイン)は、

          長さ2.45m×巾24.5㎝×厚さ26ミリ程度だ。これがいくらぐらいかと

          いうと、こういう計算式になる。

          (2.45×0.12×0.027)×180,000円=1,428円

          ㎥は、1m×1m×1mの塊(容積)のこと。もちろんそんな材木はない。

          あくまでも換算するためのもの。木材のサイズをmに換算し、全部かけ算

          して最後に180,000円を掛けると、一枚の値段がわかるという仕組み。

          これに消費税が加わり、合計1,542円となります。

           

           昔っからある在庫品だし、その他もろもろも込みだから180,000㎥は

          格安です。井口材木さんは、頼めば表面をキレイにしてくれるし、必要な

          長さに切ってくれる。ってことはですよ、ちょっとした棚なら行って注文

          すれば手に入るってことです。新木場の「もくもく」よりは数段手頃な

          値段で板が買えるってこと。もちろん、製材してもらうにはお金はかかる

          けどさ。それにしたって驚くような金額ではないと私は思うんだ。

           

           閑話休題

           アタイが考えている一人用ソファは、おおむねこんな構造なのよ。

          主要な部材はおよそ20ミリ角、それが格子になってる。全部じゃないけど。

          そこで、さてと、だ。これらのバラバラな木材をどのように切ればムダなく

          使い切ることができるのか、を考えなくちゃならないんだわさ。う〜む、

          これは少々面倒くさいことになりそう、な予感がトラック一杯でやってくる。

           

           まず線を引かなくちゃならん。材木にね。黒っぽいのもあるし表面ザラザラ

          だから鉛筆なんか使い物にならない。マジックインキでもムリだろ。やっぱ

          ここは一番現代流墨壷の出番だろ。糸に墨を染み込ませ、ピーンと張って、

          つまんで離せば、一本の線が引ける、アレだ。今は白いチョークのがある

          からさ、それで木取りしてゆかなくちゃならんでしょ。

           

           そんな作業嫌いじゃない。でもアタイの脳力でなし得るのだろうか。

          きっと混乱して、なにがなんだかわからなくなっちゃうんだろうな。お前の

          脳ミソこんなもんか!と思い知らされちゃうに決まってま〜す。

           

          とか言いつつ、ホームセンターへ行くべか・・・・・・な、店主でした。

           


          軍配は身綺麗に

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             正月明けて、畏友T野井氏来訪。板を切るために。他ならぬ貴方様のためなら

            労を厭いやせぬわいな、合点承知之助と快諾し、切って後、歓談のひととき、

            「持て余してるご様子ですナ」と言われてもうた。

             持て余しの主はこれだ。当初、店に置いといたんだ。誰か買うかもとね。

            でもなぁ、些少な来店客でもあるし、その中に「いいね、コレ!」なんて

            言うお方は、それこそ砂丘で針を探すようなもんだろ。こんな黒デカ、

            広くはない住まいに居場所はないに決まってる。日々思うに、邪魔だなこれ、

            ええぃ地下に降ろしちまえ、て〜んでココに。

             

             降ろしてる最中思ったのは、アタイが生きてる間コレを一階に再移動する

            ことないだろな、と。大は小を兼ねる、確かに音はイイ。これまでの

            ヤマハNS-20よりははるかにイイ。でもやっぱ邪魔くさいんですよ。

            音という抽象快は狭いという具体不快に負けるんだわさ。で、どうにも

            持て余した感のあったアタイだからさ、T野井さんの言葉はことのほか心に

            響いたのよね。

             

             なんとかしたいなぁ、コレ。この部屋の中でどうにかなんないかな。

            あれこれ考えてみたけど、置き場所は棚しかないという早漏結論。でもなぁ

            重いからなぁ、絶対に一人じゃ持ち上がらんだろ、そんとき、ふと思い出した

            のが、娘のダンナ。あれ? 明日来るんだったよな。んなら、手伝って

            もらっちゃお! 正月早々、なんてステキなタイミングなんだ。早速、

            黒デカを測り、棚を測れば、ピッタンコ! やった〜、女神が微笑んだ〜!

             

             棚を一段取り外せば、ジャスト納まる。しからば、いざ、配線を外そう

            ではないか、各々方。15台の機器を次々と床に移動し、空っぽになった

            棚板を外しにかかる。これが思ったよりカンタンでね。一服してしばし、

            娘のダンナを待つ。笑わないでね、コレをココに持ち上げたいの、と懇願

            し、一気呵成に数分で持ち上げて設置完了。正月早々相変わらずこんなこと

            やってることが恥ずかしい。

             ホレ、出来上がりじゃ。機器移動につきものの配線の混乱はあったものの

            引っ越してみれば、黒デカはさほど目立たない。縦置き大横置き小の七不思議。

             右の布カバーに二個のスピーカーが納まり、左の空洞は裏からの低音が

            出る仕組みのバックロードホーン。構造の縦筋が美しいと言えなくもない。

            エエんでないかい。

             事前の計測で4台の機器が溢れ出ることはわかっとる。ならばと左側に

            棚をこしらえたもんせ。出っ張るけど、これくらいは我慢がまん。なんせ

             引っ越したあとの広さにはかなわないでっしゃろ。広々としててまるで

            ブラジル高原のようでもある、ナンチテ。さっそく聴くべくCD挿入。

            悪いはずはない、いいに決まってる。珈琲を飲みつつ、タバコ一服。

            一人、どうだ!ってなもんですわ。少なくともNS-20よりもイイ、いささか

            ならず進歩?してるだろ、な気持ちが良い音に聴こえるココロに拍車を

            かける自画自賛っぷり。

             

             そこで思い浮かんだ一言が「小綺麗」。いまある部屋を整理して、

            整頓することは小綺麗って言うことじゃね? 「身綺麗」って言葉も

            あるな。どっちがどう違うの? 調べてみたら「ほどよく整っていて

            清潔であるさま」が小綺麗、対する身綺麗は「身の回りや身につけている

            ものが清潔でさっぱりとしているさま」さらに「他人にとやかく言われる

            ようなやましいことのないさま」と2つも意味がある。

             

             部屋を整理して、広くもなった。音も良くなったし、見た目もまずまず、

            それは小綺麗よりも身綺麗に軍配を上げたいぞ。これに負けないような

            仕事しなくちゃな、柄にもなくそんなことを考えたりしている、今日この頃。

             

            どうダス、T野井さん。こんならいいでしょ・・・・・な、店主でした。

             


            ヤマハ B−1

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               暮れも押し迫った12月29日、mazdaluce3000師のとこへ行きました。横浜

              在住のE守さんからレストア依頼のあったアンプの受け取り立会人として。

              アンプはヤマハB-1だ。なんたって重い、なんたって熱くなる、負の力を大きく

              凌駕する性能の持ち主とは、いまだにオークションでは壊れていても10万程度

              で商いが成立していることをみても魅力の大きさが判断できる。

               

               当店に問い合わせる前に、他所でレストアしてもらって、返ってきたら音が

              変わっていたというんだな。よく聞くんだ、そういうこと。私は最初っから

              mazdaluce3000さんだったからそんな目に遭わないで済んだけど。その費用

              20万円。その程度で済んでよかったとは師の弁。お客さんの中には繰り返して

              後にようやく師のところへ流れ着いたなんて方も少なくないんだ。ネット社会

              の弊害はこんなところにも出来する。

               

               すでに痛い目にあってるE守さん、のっけから疑心暗鬼満々でね、ちゃんと

              直るんでしょうか?とおっしゃる。ならば、当店に来て見てくんしゃい、ウチ

              のアンプはすべて師の手になるもんだから、おおよそ見当はつくでしょう、と

              伝えたらすぐに来たことはすでに記事にした。で、まずは工房へ行こう、で

              レストア依頼、で完成の報を受け、押っ取り刀で受け取りと相成った次第。

               すぐに出されたのが交換部品の数々。およそ120〜30位はある。それぞれ

              交換理由と部品の性能を解説。

               絶対に交換しなければならない大型コンデンサーだ。二個使われている。

              師が、かなりの苦労の末、ついにめっけたオリジナルを上回る性能であり、

              サイズもギリギリ収まるものに交換してあります。これだけで数万円は

              します。

               さあて、いよいよ実機を使っての検証に移る。ビスを外しながら一枚づつ

              パネルの解説と測定開始。

               レストア過程で修理した部分写真をパソコンで拡大説明。右の一筋の線は

              劣化した基盤をハンダで補修した痕跡。もちろん、同時に実物を手に取って

              見比べながら。

               レストア後の基盤。相変わらずキレイでていねいは一目でわかる。質問が

              あれば即答してくれる。その惜しみなさに感心する。なんて親切なんだ。

               いよいよ測定だ。チン恋ピン先であちこちをつまんで、一つずつ測定値

              を説明。

               こんなふう。ヤマハの指定値をはるかに凌駕する数値が次々と披露される。

              師はいかにも満足げだ。技術者としての誇りが満たされた瞬間なんだろうな、

              きっと。

               ついでにリレーの説明。こうしてやれば自分で清掃できますよ、ってな

              具合でね。これら一連のレクチャーはよどみなくスムーズに行われます。

              躊躇することなんかまったくない。ぜ〜んぶアタマん中に入っとるんだろ。

               最後に裏面。ここが壊れることよくあるんだ、と指で示す。壊れる理由も

              説明してくれる。ふ〜ん、感心しっぱなし。

               

               B-1の内部を詳細に見たことないし、音も聴いたことないし、受け取りに

              立ち会ったこともない、ないないずくしの私にはとても面白いひととき

              だったんだわさ。アンプのレストアってぇのは、目で見る事できないし、

              聴くにしてもそれぞれの耳次第、曖昧な部分がすごくあるもんね。イイか

              どうかを判断する基準がむずかしい。それを少しでも補おう、仕事の中身を

              明らかにしたい、むろんレストアの内容には自信はあるし、出来るだけの

              完璧さを目指したいココロではあるけど、すべてをさらけだしすべてを

              説明し、お客さんの不安猜疑心を少しでも減じたいという師の気持ちは

              充分理解出来ました。

               

               さらに、B-1のフルレストアはおおよそ50万円なんだけど、予算の都合で

              30万円の範囲内でという制約付きが、今回。真っ先にやらなければならない

              とこを最優先、だから保護回路には一切手をつけていない。万一の際には

              保証しかねるのはいたしかたない。加えて表面パネルや内部の細々とした

              部品交換も省かざるをえない、今後残金の手当が出来た段階で、それらに

              手を加え、正真正銘のフルレストアになる、ということにいなっているん

              どすえ。つまり、分割レストアってこと。これなら少しずつ直せるんだから

              いいんじゃないかしらネ。

               

               とはいっても、こちとら関係者であることは間違いないからさ、いくら

              美辞麗句並べ立てたところで、信用するしないは相手次第だよね。もし

              アンプが不調で思案投げ首のお方がおられたら、ダマされたと思って一度

              お問い合わせなさったらいかがでしょうか?

               受け渡しはおよそ2〜3時間、外に出てみたら見事な夕日だ。

              こりゃキレイだぜ。

               

              でもって謹賀新年・・・・・・・・・な、店主でした。

               


              20曲かァ

              0

                 なんだかモヤモヤする時ってあるじゃない。仕事も飽きて、気晴らしのタネも、

                いよいよナッシングゥ(好きなフレーズなのよ)、となるとアマゾンで買うしか

                ない。むろんCDだ。で、コレを買った。

                 入手したのはナイアガラ奥の細道ROAD TO THEDEEP NIAGARA。

                三枚組だ。大瀧詠一氏が作曲した根っこ、63曲ご披露盤。

                 

                 入手の過程で大瀧さんは「20曲集まらないと作曲に取りかからない」を

                読んだ。はて、どこで読んだのかすでに忘れとるんだ。そうかいそうかい

                そういうことかい。筒見京平さんは膨大なレコードのイントロだけを次々と

                聴きまくる、それもかなりの早さで、を知ってたから、やっぱりね、

                なるほどね、いまさら遅いけど思ったんだ。作曲だって椅子作りだって

                机に向かってじぃ〜っと考え、神様からの贈り物、閃きを待つなんてこたァ

                ないことは委細承知之助だけど、こうもあっけらかんと言われちゃ、

                なんだか気が抜けちゃうアタイなんですわ。

                 

                 いや、それが悪いってことじゃないっすよ。アタイだってそうやって

                るに決まってる。知らず知らずのうちに蓄積された知識が、閃きを

                もたらしてるんだろうな、ことはわかっているつもりだけど、ズバリ言われ

                ちゃうと、なんだかな〜、神秘の生命現象を科学の力で白日の元に晒され

                ちゃう感じ。63曲次々と聴いてくと大瀧さんの聴き覚えのあるフレーズが

                流れてくる。単なるオールディーズの羅列には興味はないけど、好きな

                ミュージシャンのルーツとなると話は別だ。誰かモーツァルトでも

                やってくれないかな〜?

                 

                 それを聴きながら図面描き。いよいよ木取り図までこぎつけた。原寸図を

                4枚、わかりにくいってんで数十年ぶりにアイソメも描いた。

                 こんな感じの図面だ。水平線を書いて、垂直線を書いて、左右に30度

                づつ線を書いて、そこに寸法を入れて立体的に描いてゆく。パソコン

                ならチョチョイだろうけど、なんたって手書きだからさ、紙がすぐに

                黒く汚れちゃう。鉛筆だからネ。

                 

                 この図にNo.を打ってさ、それでチェックしながら、いかに効率よく

                材料を切断するかを検討するのが木取り図だ。トリミング図とも言う

                らしいけど。アタイの場合、さらにパーツをばらばらにして、ここには

                これが取付けられるみたいにするから、さらに複雑になる。全体や部分、

                構造もボルトも、どこに配置すれば見やすいか、なことを考えつつの

                作業になるから、アタマもぼーっとしてくるってもんだ。

                 

                 これで図面はひとまずオワリ。後は、実物を作ればよろしい。しかし

                なんだな、こんなにたんまりひつこく図面を描いたことないな、の

                我が人生。図面を描いてる途中で小さなアイデアが涌き、ミスも見つかり、

                図面に書き込んで、書き込んで、まとまった段階で新たに図面を描き直す

                の繰り返しだ。人は必ずミスを犯す、それを少しでも防ぐには多くの

                視点から見るしかない。図面で確認、実物で確認のプッシュプル。それ

                しかないときたもんだ。

                 

                 で、今日はアンプの師匠mazdaluce3000氏のとこへ。依頼のあった

                ヤマハB-1のレストアが一応完了し、試聴に行くの。聴いたことないんだ

                このアンプの音。お客さんと一緒に聴くの。はてさて、どげな音が

                待ち受けているのでせうか?

                 

                楽しみではありまする・・・・・・・・・な、店主でした。

                 


                タラブックスだ

                0

                   タラブックスのことはたしか内澤旬子さんのブログで知ったんだ。コレか。

                  先日、椅子製作を依頼する寺本さんの工房に行ったとき奥さんと会ってタラの

                  展覧会が開催されてることを教えられ、きのう行って来たんですわ。板橋まで。

                  内澤さんの文章できっとイイ本なんだろと思っていたけど、久しぶりでココロに

                  沁み入るセミの声、誰かに話したい欲求ムクムク、裏隣りのH川さん、矢口さん、

                  んで寺本サンに☎、しまくって、もういないか? 残念だな・・・・。

                   板橋区立美術館入口のディスプレイ。雰囲気あっていいぞなもし

                   会場は二階、納得のディスプレイ。右に覗き見えるのが問題の喫茶店

                  兼即売場だ。

                   絵本に使われている原画がズラリと並ぶ。写真撮りまくりだ。中でも

                  お気に入りの一画。繊細精緻、奔放に湧き上がるイメージをまとめあげた

                  見事な逸品とアタイは考えたが、諸氏のご判断やいかに?

                   そしてこれでKOされし我がココロ。コレ、欲しいなぁ〜〜〜〜〜。

                   そしてこんなのも。

                   さらにこんなのも。TUNAMIと題された絵本。う〜む、そうきたか。

                   

                   バシャバシャ撮っててもラチがあかない。キリがないもんな。写真よりも

                  肝心なのは絵本だろ。場内には絵本を手に取れる場所もあるけど、一向に

                  気は向かないんだ。聞けば、一階で即売してると。小さな会場なれど

                  ワンサカな絵本いずれもココロ惹かれる逸品揃い、ヤバイな、買っちゃう

                  のかオレ?

                   まずはコレを買った。厚紙が切り抜いてあって、中の本が見える。

                  こういうの大好き。

                   これで三千円なら買うだろ。色がキレイ、イラストもスンバラシイ!

                   ふと目に止まったのがコレ。大して気は乗らなかったんだけど。パラリと

                  めくって即買いじゃ。内容なんて関係ないの。

                   家に着いて見たら、こうなってる。ふ〜ん、まだ気が付いてない。

                   さらに開いてこうなる。ここで気が付くアホなアタイ。ある村での

                  結婚式の様子かい、んでもって一枚開いた絵の説明が下に書いてあって

                  それが次々と展開してゆくってことなんだな。なぁ〜るほど、そういう

                  ことかい! いいじゃんか!!

                   本の上に穴が開いてる、ってことは吊り下げろってことなんだろ。

                  で、こうなる。へぇ〜長いじゃん、ケッコウなことでやんす。これって

                  日本の寺でもやってる説教とか説話、絵解きみたいなもんか。絵で説明

                  しながらありがたい教えを広めることに違いない。ふ〜ん、感心しきり

                  なアタイ。これで三千円なら安いもんだ。ウチの床の間に飾っちゃう?

                   小さな会場とはいえ目移りするからコレを発見したのが遅れたの。布製だ。

                  真ん中に穴が開いてて、中の本が見えるのは前の本と同じ。

                   見開けばこうなる。なんか凄い感じがするけど19,000円もする。前の

                  二冊の6倍かぁ・・・・・・・・・。悩むなァ〜・・・・・・・。

                   中の本だ。布に包まれてる。ここまで見せてもらってアタイは購入に

                  踏み切ったのだった。右にあるのは解説パンフ。スタッフの「最後に

                  残った一冊」が背中を押した。どの本も高いわりにすぐ売れちゃう

                  らしい。そうだろな〜、好き者には堪えられない逸品揃いだもん。

                   袋の中には布製の絵本があった。コレ見ないで買ったからね。中身は

                  わからなかったのよ。

                   べろべろべろ〜と広げてみる。厚紙小片が布で包んである。8枚だ。

                  どうやって作ってあるの、これ? 布で包むってことは縫ってあるんだろ?

                  目をこらせば確かに縫ってる。当然、厚紙と布を縫い合わせてるんだ。

                  やるなァ〜!!

                   帰ってから気がついた。シリアルNo.入りだったんだ。

                   

                   三冊買って余裕ができて辺りを見回す。喫茶コーナーに絵が掛かってる

                  じゃないか。なんとはなしに見てみれば、すべて売り切れ、残ってる絵は

                  一枚しかない。しかもオリジナル一品物の額だ。その額がまたイイんだ。

                  なんてこったい三冊でオワリじゃなかったのかい。しかも5万数千円も

                  するじゃんか! 絵はシルクスクリーン手刷り、むろんシリアルNo.入り。

                  どうしよう? 即断できない、珈琲でも飲んで考えるっぺ。

                   絵の真下の席で見上げつつ、さらに考える。買えない金額じゃないけど

                  絵に5万円払ったことなんかない。しかしなぁ、この額もかなりのもんだ

                  もんな。古材を使った、もんだし。アタイ好み著しいし。さぁ〜て・・・。

                   で、結局買うてしまったんだわさ。どこに飾るんだ、こんなもん・・・。

                   

                  恐るべしタラブックス、ココロ鷲掴み・・・・・・な、店主でした。

                   


                  自己修正力

                  0

                     改めて人生なにが起きるかワカリマセン、な今日このごろ。野村監督の

                    奥さんが急死してしまった。残された監督の憔悴ぶりが痛ましくって見て

                    いられない。少年時代にTV観戦してたときからなぜか南海ホークスが好き

                    で、とくに野村選手は大好きだったんだ。結婚相手が京都・峰山出身で

                    縁を感じたなんてことも。奥さんが亡くなり、気落ちした監督が厭世観に

                    取り憑かれ、そのまま・・・・・・・なんてこと、あ〜いやだいやだ。

                    これは筒井康隆氏にも言えることだけど、私の人生にとって多大な影響を

                    もたらした二人が亡くなれば、かなり落ち込むに決まってる。あ〜ぁ。

                     

                     毎日が日曜日のアタクシ、ココんとこ地下はこのような有様。向こうに

                    見える椅子に没頭してるんだ。机上には原寸図、実物大の椅子の図面を

                    描いているのです。

                     こんなふうにね。つい数ヶ月前には、このワタシが椅子をデザインする

                    なんざ思いもよらなかったんだわさ。その証左に、数々の定規類すべて

                    椅子を作ってもらうT本さんに差し上げちまったんだ。で、いざ図面を

                    と思ったときには、定規がなくって弱るのことよ。でもな、あげた時

                    ニャ椅子の図面描くなんてまったく思わなかったもんな。

                     

                     ま、そういうことはよくあることだけどさ。で、この図面、三枚目

                    なのよ。最初にA3用紙6枚をテープで留めて大きく、その上からトレー

                    シングペーパーを重ねて改良を重ねてゆくわけだけどさ、鉛筆の減りは

                    早い、鉛筆ったってシャープだけど。最初、0.3で書くもポキポキ折れて、

                    で0.5にしてもちょっと力入れると折れるんだ。なんせ久しぶりだからさ、

                    力加減なんかとうの昔に忘れとるんだ。結局、0.7ですよ。さすがに太い

                    から折れまへん。死ぬまでに使い切れないほどのA3トレペだけど、

                    テープで留めてる場合じゃない、ここまで来たら大きなので描くしかない。

                    なんたってくっつけてるとこに線が引きにくいんだ。

                     

                     こんなことパソコンでやればチョ〜楽ちんなんだけど、もう図面なんか

                    描かないでしょ、もし描くとしてもそんときは手書きでいいや、便利した

                    イラストレーターのソフトの買い方もようわからん世代だもんで放って

                    おいたらこのざまですよ。相変わらずの遅かりし由良の助だ。

                     

                     図面で確認して実物モデルで最終チェックの繰り返し、ついに三作目の

                    モデルを作る段階になった。図面とモデルの交互作業が面白すぎて、

                    え〜っ、こんなに面白かったっけ、と驚いているとこ。昼ご飯食べるのも

                    忘れ、夜なべして製図、けっこうねちっこいなと自分でもおどろくほど。

                    ひょっとしてSEXよりいいかも。マジで。な〜んてね。

                     

                     で思ったワケ。なんでこんなにオモロいのかと。若い時からデザイン

                    好きでなんだかんだ考えたり作ってきたりしてきたんだけど、若い時は

                    経験もないし知識だって覚えたてで熟成していないから、アイデアが

                    浮かんでそれをもっと良くする方法がわからない。ヒョイと生まれた

                    アイデアがいいのかどうかの判定も下せないんだわさ。なんとなく

                    こっちのほうがイイ、みたいな感覚だけの判決だから、自信もなけりゃ

                    根拠もない、ただ好きか嫌いかみたいでね。

                     

                     それがこの歳になればだ、浮かんだアイデアの可否が明確で、次々と

                    最善と言わないまでも最良のアイデアが積み重なって、気持ちいいこと

                    この上もない。みるみるうちにダサイ椅子の様子が良くなってゆくのが

                    わかるんですもん。それって自己修正力ってこと? そにょ通りと一人

                    合点なアタイだ。それにですよ、こんな椅子いっこデザインするん

                    だって、構造、材料、加工に始まり、テイストや仕上げや発送方法、

                    いろんなことをアタマに留め置きつつ、全体を考えなけりゃならない

                    わけでさ。そんなこと20代30代、ひょっとして40代のアタイにゃ

                    到底出来なかったことだらけだと確信を持って言えるのさ。

                     

                     そう考えれば68才にして椅子をデザインするってのは機が熟して

                    いたんだと思っちゃう。今回の椅子は多くの穴が開き、多くのボルト

                    を使うんだけど、かなり以前にネジの永井さんで見たカラーメッキの

                    ボルトが使える絶好のチャンス、知り合いの作家さんに布をデザイン

                    してもらえる小さな夢が叶うとかさ、今までの人脈品脈を生かせる

                    こともある。格子を使った椅子となると、どうしたって和風になるけど、

                    それじゃフツウ過ぎる、異文化を持ち込んでいささか刺激的にしないと

                    見向きもされないだろとかね、椅子の性格にまで余裕で考えが

                    及ぶんだから堪えられませんやね。

                     

                     なんて書くといかにも自画自賛、自慢が過ぎると言われちゃうん

                    だろうな。でもさ、この歳になるまでこれといって大したことやって

                    こなかったのが、ようやく家具の王様ともいえる椅子をデザインする

                    機会に巡り会い、その過程で感じる実感の素晴らしさに酩酊してる

                    こちとら、多少の戯言は許してちょんまげ。

                     

                    まったくもって至福なひととき・・・・・・・な、店主でした。

                     


                    オヤジ臭

                    0

                       仮称「寸法クン」は一休み状態なんだ。というのも、珍しくツマミを求めて

                      来店されたお客様があり、足の踏み場もないファクティオを整理するべく

                      大嫌いなお掃除に日が暮れる。飽きっぽい性格→仕事の巾を広げよう→そう

                      すれば一つことをズ〜っとやらなくても済む→飽きたら次へと駅伝仕事と

                      なれば、飽きるヒマがない。とまぁ、考えたんだけど、広すぎた手がアタイ

                      の能力をオーバーフロー、はて? なにから手をつければよかんべえの

                      真っ最中。う〜む、雀百まで踊り忘れず? 意味が違うか??

                       

                       ともあれ、畏友T野井さんからコメントが入った。

                       可動部の芯に金属を使うのも一考かと思います。加工は(木ほど)自在に

                      いかない分、強度が担保出来るのでスッキリしたフォルムが描けます。

                       

                       機にして敏なるご協力どうもデス。そうなんですよ、加工して座面を上げ

                      下げするには柔らかすぎるんです、木は。

                       ご指摘の部分はココですよね。●が5つ上下に並んでる。●の左に固定する

                      ボルトのエレベーターみたいな溝は考えてみた。この5段階でよしとするなら

                      いいのですが、さらに考えた。アタイのカミサンは膝が悪くて、座卓で食事

                      する際に脚を投げ出さざるを得なくって、それなんとか解消できないかと。

                      優しいなァ。もっと下まで座面が下がれば、ウマくゆくかも。それとね、一応

                      5段階にセットしたけどさ、男女によって高さは違うだろうし、標準位置より

                      もちっと低くしたい高くしたいと思う方だっているだろう。

                       

                       そう考えれば、●の間隔は出来るだけ狭くしたいかも、櫛みたいにね。

                      今の●だって、上の4つの間隔は15ミリしかないからさ、木で大丈夫?

                      って言われれば不安は膨らむ。そんなこんなを考えると、●がスライドする

                      部分だけを金属にするアイデアは至極妥当なもんで大いに賛同するアタイ。

                      問題は金属にするにしてもどこに頼むか。多分、真ちゅうになると思うけどさ。

                      作ってくれるとこ知ってる?

                       

                       ってなことありつつクラプトンのCDを三枚買ってしまった。押尾コータロー

                      の「LOVE STRINGS」を聴き、FMで知ったJULIAN LAGE and CHRIS

                      ELDRIDGE「MOUNT ROYAL」を聴き、いいんだけどなにか違うなぁ〜と

                      思いつつ、クラプトンに逆戻りみたいな。「なにか違う」な違和感、はて

                      原因はどこにありや? 車を運転してるときに思い浮かんできたのが

                      「オヤジ臭」。多分それだろ、と。

                       

                       コータロー君のギターはとてもキレイ、録音もいいし、これはこれでなんの

                      文句もない。JULIAN & CHRISも同じような感じでけっこうなCDだ。アッシ

                      が感じる違和感は、「オヤジ臭」がないことで、キレイすぎて蒸留水のような

                      音楽ではすでに物足りないカラダになってしまってたみたい。でもさ、大好き

                      モーツァルトだってオヤジ臭なんかないじゃん。クィーンだってないし。

                      ま、なにもオヤジ臭だけが唯一絶対神なワケでもなし、矛盾してるあれこれ

                      が混在してるのがアッシという個人であり、それが個性だろ、ということで

                      一応の決着がついたんだわさ。

                       

                       それはそれで良しとして、気になるのは「オヤジ臭」だ。ゴッホには感じる、

                      けどピカソには感じない。キャロル・キングにはちょっぴり感じる、アネサ・

                      フランクリンには大いに感じる。ティナは満載だけどセリーヌディオンはほぼ

                      皆無。そう考えるとアッシが好きな音楽がほのかに浮かび上がるような気が

                      するのよね。浮かび上がったからっていっても、それで? ってことなんだ

                      けどさ。好きで好きでの音楽、好きな傾向がほんの少し理解出来た喜び

                      (っていうほどでもないけど)は、極私的なかなかのもんなんだ。音楽を

                      聴くこととモノを作ること、いずれも私の表現であることに変わりはない。

                      ならば、オヤジ臭は今作ろうとしている椅子にもなんらか雰囲気だけでも

                      漂わせたいじゃないっすか。

                       

                       そこで考える。そもそもオヤジ臭ってのはなんなの?とね。生まれたての

                      考えだから間違っているかもしれないけど、基本的にキレイなのはイカン、

                      特にきれい過ぎるのはイケマセン。そんじゃ汚いのがイイかというと

                      そうでもない。キレイの反語は汚い? 多分その考えが間違っているんだろ。

                      はて、どんな言葉が適してるのでありませうか。

                       

                       なんともあやふやな内容で理解してもらえないんだろうな、きっと。

                      で、ネーネーズ。ネーネーズにはオヤジ臭充分にあります。といっても

                      あくまでアッシの感じでしかないからわかってもらえないかもしれない

                      けど。コレは多分、知名定男さんの考えによるものなのかもしれない。

                      民謡が下地になってることに異論をはさむ方はいないだろう。

                       クラプトンの音楽はブルースが根底にある、日本ならさしづめ民謡だ。

                      私の知る狭い経験だけどオヤジ臭の巨星は高橋竹山。津軽民謡に聳える

                      高峰にして門付の最後の経験者。渋谷ジャンジャンで聴いたときにゃ

                      後ろの壁の向こうに津軽の風景が浮かび上がったもんな。今も脈々と

                      流れる民謡の心、と言いたいところだけど、聞こえてくるのは商業化

                      された民謡歌手ばかり、土着的で力強い音楽性はどこに行ってしまった

                      のやら。

                       

                       今や日本全国均一化されたもうた。どこに土着があるものやら。唯一、

                      残っていそうな感じがするのが沖縄かしら。まだまだ言葉だって違うし

                      文化も違うし、守ろうという姿勢がここかしこだもんね。空手にしても

                      そうだしさ。そんな風土から生まれたネーネーズは、生まれるべくして

                      生まれたんじゃないかとアッシは思ってるの。ネーネーズの音楽世界を

                      どうしたらアッシの椅子に取り込めるのやら、幸せな結びつきはできる

                      のかしら。

                       

                      ネーネーズ聴きながら椅子作ろうっと・・・・・な、店主でした。

                       



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